平成18年度 援助者講座のご報告


鹿児島市精神保健福祉交流センターでは、精神保健福祉援助職の方々を対象にした「援助者講座」を開催しております。今年度、第1回目となる今回の講座は、精神保健福祉分野に留まらず多機関(行政、保健、医療、福祉、労働、法律、民間のボランティア・支援団体、家族など)から71名のご出席を頂き、開催致しました。

「NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの活動とその課題〜連帯保証人提供という生活困窮者支援〜」と題し、講師にNPO法人自立生活サポートセンター・もやい 事務局長の湯浅誠さんと株式会社リプラス福祉支援室 室長の須藤謙蔵さんをお招きし、東京で生活困窮者(ホームレス、精神障がい者、DV被害者など)の方々に「連帯保証人提供サービス」を行っている取り組みについてご講演頂きました。

写真右手が講師「もやい」の湯浅さん、左手が「リプラス」の須藤さんです。
始めに、湯浅さんより「もやい」発足の経緯や活動内容の紹介、現状報告と今後の課題についてお話を頂きました。法人名の「舫(もやい)」とは、船と船をつなぎあわせること(寄り添って共同で事をなすこと)という意味です。湯浅さんはもともと、東京の山谷という地区でホームレスの方達に炊き出しなどの支援を行っておられたのですが、「自立生活をしたくても、人間関係の貧困が自立の妨げになりアパート入居したくても連帯保証人が見付からない」という問題に対してNPO法人を立ち上げ活動をしておられます。

プロジェクターで資料や写真を映しながら、「もやい」の各種事業についてご説明され、「連帯保証人提供」の取り組みについての現状と課題について詳しくご報告いただきました。そして後半は、株式会社リプラスの須藤さんよりお話をしていただきました。
株式会社リプラスは、賃貸住宅入居の際の賃借人の連帯保証を事業として行っている民間の営利法人です。同社は、社内に「福祉支援室」を置き、様々な社会的弱者の方々が住宅に住み続けられるよう、「賃貸保証」を行っています。「もやい」と協力関係を結び、「もやい」の入居支援事業利用者の債務保証を行うまでの経過や事業の実際について詳しくご紹介いただきました。

精神障がいを抱える方々の中には住居の受け皿や連帯保証人がいないこと等が理由で、社会的入院及び施設入居をしている方々がたくさんいらっしゃいます。
実際にそういった方々の支援に苦慮しておられる援助職の方々が真剣に耳を傾けておられた会場の様子からも「連帯保証人提供サービス」に対する関心の高さを感じました。

講演後は30分間の質疑応答が行われましたが、会場からは活発な質問が飛び交い、講師のお二人から更に詳しいお話をうかがって講演会は終了となりました。
連帯保証人提供サービスに関するお話を通して「孤立させないと同時に抱え込まない」
「社会資源をつくり、それを存在させ続ける」「社会問題として世の中に問題提起を行い、社会に働きかけていく」といったことの大切さと、つながり(ネットワーク)の重要性についても学ばせて頂きました。
終了後参加者の皆様から頂いたアンケートにも、連帯保証人提供サービスの必要性を感じたことや援助者講座の継続開催を望むご意見が多く寄せられ、今後の業務に活かせる視点がたくさん散りばめられた講演だったと思います。

次回の「平成18年度 第2回援助者講座」は、平成19年3月に開催予定です。詳しい日時や内容につきましては後日ご案内いたしますので、どうぞ奮ってご参加下さい。